コッペパンハウス「パン屋のオヤジ」

フランス民謡とコッペパン

テラスから聞こえてくる歌は、なんともたのしいメロディーです。

「フランス民謡で、お店の名前と看板にもなっている“パン屋のオヤジと金魚”という歌です。
もとの歌詞があり、そちらの替え歌といいますか、オリジナルの歌詞をつけて、すきな人たちが有志で歌い録音しました。」

歌詞を聞いていると、ところどころにコッペパンが出てきます。

「コッペパンへの思いを感じる面白い歌詞ですよね。
この歌をとてもすきな人がいまして、看板やロゴになっている金魚をデザインしました。」

看板の金魚は歌の通り、ハットをかぶりパイプをふかしています。持ち帰り用の手提げビニールなど、いろいろなところにこのロゴが入っていて、探すたのしみがあります。

お皿にたとえて

♫ なかよしふたり
 テラスでコッペ
 うれしい たのしい
 おいしいコッペ
 トゥララララ〜…… ♫

コッペパンハウス“パン屋のオヤジ”でつくる商品は、その名の通りコッペパンが主役です。

「お店のメニュー表には80種類ほどのコッペパンが紹介されていますが、季節やその日によって、あるものとないものがあります。
主に、月替わりと季節アイテムに加え、その日の限定メニューがあり、その考案は、定期的に開く試作会で、メインの人を中心にみんなで考えます。」

午前10時、気持ちの良いテラス席。日当たり良好。
テラス席でいただく場合はサービスのコーヒ付き。
クロックムッシュは温めてサービスされます。

「2020年4月に4周年を迎え、これまでのメニューは500種類をこえました。」

その日の限定は、ひな祭りやバレンタインなどのわかりやすいものもあれば、告知ゼロでサプライズメニューの日もあります。

あらかじめメニューがわかると、インスタグラムでお知らせすることも。

「SNSで発信すると、今日これありますか?とお電話をいただくことがあります。
休日には取り置きの連絡が多いですね。女性のお客様は、おひとつの場合もよくあります。」

どれもボリュームたっぷりです。

店内にはコッペパンのほかにも、パンが少しあります。
ほかのパンを増やす予定はありますか?とたずねると、

「こだわりがありまして……。
コッペパンをお皿にたとえた人がいて、なんでも入れちゃおう! と。
これまでのメニューで変わったものですと、シュウマイやチャーシュー、タピオカなどもありました。」と笑う箕輪さん。

こちらは王道のハムたまご。
コッペパン以外のパンはこちら。

得意なことから

就労継続支援B型事業所のコッペパンハウス「パン屋のオヤジ」で働くみなさんは、

「若い同世代が多くフランクで気軽な関係です。職場では上下関係がありますが、外ではスタッフとメンバーの垣根がなく、みんなたのしいことがすきで、オフにはともに出かけていくこともあります。」

仕事は細かくわかれ、その人の特性にあったことに取り組み、できることを増やしていきます。

最近ではデリバリーが増えて、地域の企業に納品することも多く、「街パン」などの外部販売は、“得意な人”に行ってもらうのだそうです。

パンを焼く人。
マーガリンやクリームを丁寧に塗る人。
葉物カッターで野菜を切る人。

「お客様からのご意見によってビシバシ教育され、商品も改善していきます。たとえば、パンがぬれていた、というご意見をいただき、マーガリンの塗り方や野菜の入れ方を工夫しました。」

焼いたパンの熱がとれたら、次はキャベツの千切りが棚にスタンバイ。一日に切る量は一箱以上です。
奥は調理用の厨房。コッペパンにはさむ揚げ物などはこちらで調理します。

この記事を書いた人

N

日頃、ひとりは建築設計を仕事にしていて、もうひとりはアートワークをしています。ややこしいので、ColabusウェブサイトではまとめてNです。頭文字みたいで推理小説風なところがお気に入り。Nを水平方向に反転するとキリル文字のИ(発音は /i/ )、意味は[そして]。私たちは皆さんとColabusをつなぐ、ささやかな接続詞になれることを願っています。