これからの暮らし考

脱炊飯器宣言 美味しく炊ける鍋ごはん

自分の家庭を持って一番嬉しかったのは、好きなキッチン用品を置けることでした。
 今の住まいに住むようになって10年経ちますが、時間をかけて自分の好きな調理器具だけを手元に集め、現在毎日の料理で使うお鍋類はこれだけ。他の方と比べたことがないのですが、皆さんのお手持ちはどのくらいですか?
 最年長は、オレンジのよく見る製品。もう17年ほど使っていて、ほぼ毎日出番があります。クリーム色の大きい鍋は出番は少ないものの蒸し器にもなり、見た目より軽く、おこわを蒸したり、豚汁やフルーツポンチなどをたくさん作って野外イベントの時、車に乗せて持ち出すケータリングに最適。

フライパン2種は、揚げ物・煮物・炒め物など使い回しますが、特に小さい方のフライパンは油で手入れしつつ、お弁当の卵焼き、パンケーキ用として育てたもの。おかげで、気軽にきれいなパンケーキを焼くことができます。ミルクパンは2代目で、朝はお弁当のおかず、昼はうどんや簡単な料理にと活躍します。そして鋳鉄の黒い小さめの鍋は炊飯器のない我が家の大事なご飯用鍋です。自分のキッチンを持った時から、あまり広くないキッチンに炊飯器があることがストレスで、今の家に移る時に思い切って「脱炊飯器宣言」をしてなんとか10年保っています。

  

 タイマーセットなどができないので、時には自分の宣言に泣きたくなることもありますが、白米・玄米・餅米入りなどその時のお米の様子を見て水加減や火加減ができること、意外に早く炊けること(浸水時間を除けば25分くらい)の嬉しさがあります。障害のある息子は胃ろうのため、ご飯もおかずもミキサーして滑らかにしないといけなのですが、これらのお鍋でじっくり煮て柔らかく仕上げます。せっかく作った食事もミキサーしたり、冷ましたりと食べるまで何段階か手をかける介護食を作っているので、手早くチャチャっと作るような料理より、余熱で芯まで熱を入れたり、じっくり味を染み込ませるような時間を味方にする調理が多くなりました。

改めて調理器具のラインナップを見ると日々の献立が見えて、職業ごとにまとう服が違うように、使うお鍋の種類で家庭の献立も想像できそうです。
今の季節は大きな鍋でフキや筍をゆで、味付けして煮たり、混ぜご飯や和えものなど作りながら、また次の春にも同じことができるよう、ていねいに季節を歩みたいと思っています。 暮らしライター ぺこ