プロローグ – 静かな風景の中に
市営地下鉄グリーンライン「センター南」駅から大通りを渡り、住宅街をしばらく行くと果樹や畑が広がります。細い路地を川方向に曲がると三角屋根に丸い窓の建物、「ごぼうハウス都筑」が見えます。
空が広がり、先ほど通り抜けてきた街をずっと遠くに感じる、静かな場所です。
ごぼうハウスには、誰でも利用できる地域交流室と、販売用のパンやケーキを製造する厨房があります。
地域交流室には、ケークサレや種類豊富なパウンドケーキを、お茶やコーヒーと一緒に楽しむことができるスペースがあり、施設名のごぼうを使ったお茶やカフェインレスコーヒーなど、ノンカフェイン派の皆さんにうれしいメニューもあります。
製造しているパンは、ケーキ類やプリンと一緒に、センター南駅や都筑区役所で出張販売。
そのほかに、横浜市市庁舎で開催する「街パン」や企業スペース、各所イベントでも販売しています。
お菓子づくり・クリスマス特別教室
「今日は絞り出しクッキーをつくりましょう。材料は小麦粉やバターなど、皆さんがいつもつくっているパンやケーキとあまり変わりませんが、作業工程が少なく、ずっと簡単です。」(お菓子づくり・鈴木先生)
ごぼうハウス都筑では、施設内でお菓子づくり教室を開催し、皆さんの日頃の仕事に役立てています。
この日は午前の部と午後の部に分かれて開催です。
午前チームが焼いた甘いクッキーの香りが残る厨房で、先生の手は止むことなく作業が進みます。
「生地を切るようにしながら、しっかりと混ぜていきましょう。」(お菓子づくり・鈴木先生)
その傍ら、スタッフの皆さんが様々な材料を計量します。
混ぜてみたい人はいますか?の質問に「はい」と声が。
声の主は加瀬さん、先生が誘導しボウルとホイッパーを手渡します。
しばらく攪拌してコツを得ると、手の動きがスムーズになりました。
私は全盲です、とお話しする加瀬さん。
普段、パンやケークサレをつくるときは、材料の計量も担当しています。
どのように計量するのか、方法を伺うと「計りが教えてくれますよ。」とのこと。
教えてくれる計りですか?
どんな計りなのでしょう?
のちほどご紹介します。