colabusの横顔 02 “のあのあ”

もくじ 1 フェルティードッグを知っていますか? しーん、と静まり返った作業の部屋 2 2020年に起きた運営の変化 施設長・上原さんと「のあのあ」のあゆみ 一緒に考え、一緒に喜ぶ 3 これからの「のあのあ」

フェルティードッグを知っていますか?

手のひらにおさまる大きさの可愛らしいワンちゃんは、フェルト製の人形です。
軽くてやわらかいふわふわの羊毛を、ニードルと呼ばれる専用の針でちくちく刺し固め、少しずつ形を整えて、まるで今にも動き出しそうな表情のワンちゃん=フェルティードッグが誕生します。

手のひらサイズのフェルティードッグ。

「のあのあ」には、全国(ときには海外にお住まい!)の愛犬家の皆さんから、たえず注文がやってきます。依頼主から送られてくる愛犬の写真をお手本に、利用者さんがひとつひとつ手作業でつくります。
職場のデスクに写真を飾るように、愛犬と「いつも一緒にいたい」と願う人のため、今日も世界にひとつのフェルティードッグが生まれるのです。

しーん、と静まり返った作業の部屋

京急線「金沢文庫駅」の西口ロータリーを抜けて、笹下釜利谷道路を直進。
十数分歩くと「釜利谷(かまりや)」と書かれた交差点が見えます。
通りに面した建物にブルーの看板、ミニチュアシュナウザーのイラストと「のあのあ」の文字。
ガラス戸を覗くと小さな可愛らしい犬の人形が並び、その向こうに黙々と作業する利用者さんの背中が見えます。
そっと扉を開けて中に入ると、静寂な室内にときおりサクッサクッという音が…。
フェルトを刺すニードル(専用の針)が、下敷きのウレタンに届いた音です。

十字路に面した建物の角に「のあのあ」の看板。
座席の間隔を空けたレイアウトになって半年。作業に集中する利用者さんの後ろ姿。
「使用するニードル(専用の針)は仕上げまで一本。人によってはもう一本用意して、深く差し込まないようにテープなどでカスタマイズしています。」(主任・和田さん)

「これは商品で丁寧につくるもの。お客様に喜んでいただくもの、という事を全員がしっかり認識して制作しています。」(主任・和田さん)

主任の和田さんはスタッフの目黒さんと、利用者さんに寄り添い作品づくりを支援します。

和田さん(手前)と細部を調整する利用者さん。
目黒さん(手前)と一緒に写真を見ながら方針を決めます。

「とにかくまず写真をじっくり見て観察、そして依頼されたワンちゃんのポイントはどこなのか、理解することからはじめます。」(主任・和田さん)

皆さんが“ちくちく”と呼ぶこの作業は、繊維状の羊毛を少しずつまとめニードルを刺しながら徐々に立体をつくり上げる、羊毛フェルトと呼ばれる技術です。

顔の表情や、全体の印象を写真に近づけるためには、たくさんの工程があり、ベテランの利用者さんでも仕上げまでに二週間ほどかかります。

ニードルでパーツの形を整えます。
体のパーツ見本。大きさやフェルトの分量を参考にしながらつくります。


緻密さと観察力を必要とするため「一日の作業が終わる頃には、エネルギーを使い果たす感じ」になり、和田さんは「帰ったらゆっくり休んで」と声をかけることもしばしば。

それでも利用者の皆さんは、翌日の朝になると「昨日うまくいかなかったところを家で練習してきた」「今度はこんなのを作ってみたい」と、フェルティードッグへの情熱が尽きないのだそうです。

今日の作業内容や受けた指導、これからやってみたいことなどがびっしりと書き込まれたノート。休み時間になると、利用者さんは自分だけの作業ノートを記録します。

この記事を書いた人

N

日頃、ひとりは建築設計を仕事にしていて、もうひとりはアートワークをしています。ややこしいので、ColabusウェブサイトではまとめてNです。頭文字みたいで推理小説風なところがお気に入り。Nを水平方向に反転するとキリル文字のИ(発音は /i/ )、意味は[そして]。私たちは皆さんとColabusをつなぐ、ささやかな接続詞になれることを願っています。