フェルティードッグを知っていますか?
手のひらにおさまる大きさの可愛らしいワンちゃんは、フェルト製の人形です。
軽くてやわらかいふわふわの羊毛を、ニードルと呼ばれる専用の針でちくちく刺し固め、少しずつ形を整えて、まるで今にも動き出しそうな表情のワンちゃん=フェルティードッグが誕生します。
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「のあのあ」には、全国(ときには海外にお住まい!)の愛犬家の皆さんから、たえず注文がやってきます。依頼主から送られてくる愛犬の写真をお手本に、利用者さんがひとつひとつ手作業でつくります。
職場のデスクに写真を飾るように、愛犬と「いつも一緒にいたい」と願う人のため、今日も世界にひとつのフェルティードッグが生まれるのです。
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しーん、と静まり返った作業の部屋
京急線「金沢文庫駅」の西口ロータリーを抜けて、笹下釜利谷道路を直進。
十数分歩くと「釜利谷(かまりや)」と書かれた交差点が見えます。
通りに面した建物にブルーの看板、ミニチュアシュナウザーのイラストと「のあのあ」の文字。
ガラス戸を覗くと小さな可愛らしい犬の人形が並び、その向こうに黙々と作業する利用者さんの背中が見えます。
そっと扉を開けて中に入ると、静寂な室内にときおりサクッサクッという音が…。
フェルトを刺すニードル(専用の針)が、下敷きのウレタンに届いた音です。
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「これは商品で丁寧につくるもの。お客様に喜んでいただくもの、という事を全員がしっかり認識して制作しています。」(主任・和田さん)
主任の和田さんはスタッフの目黒さんと、利用者さんに寄り添い作品づくりを支援します。
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「とにかくまず写真をじっくり見て観察、そして依頼されたワンちゃんのポイントはどこなのか、理解することからはじめます。」(主任・和田さん)
皆さんが“ちくちく”と呼ぶこの作業は、繊維状の羊毛を少しずつまとめニードルを刺しながら徐々に立体をつくり上げる、羊毛フェルトと呼ばれる技術です。
顔の表情や、全体の印象を写真に近づけるためには、たくさんの工程があり、ベテランの利用者さんでも仕上げまでに二週間ほどかかります。
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緻密さと観察力を必要とするため「一日の作業が終わる頃には、エネルギーを使い果たす感じ」になり、和田さんは「帰ったらゆっくり休んで」と声をかけることもしばしば。
それでも利用者の皆さんは、翌日の朝になると「昨日うまくいかなかったところを家で練習してきた」「今度はこんなのを作ってみたい」と、フェルティードッグへの情熱が尽きないのだそうです。
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