目的
野毛坂グローカルは、
・「多文化共生(誰もが共生できる)地域コミュニティ」 まちづくり
・「国内外の地域コミュニティの学びあい」 まちづくり
・「誰一人とりのこさない」 まちづくりなどをテーマに活動されている実践団体です。
https://nogezaka-glocal.com/
昨年代表の奥井利幸さんと出会ったことをきっかけに、
今回イベントへのお誘いをいただきました。
新型コロナウィルスの影響により、在宅でのリモートワークが一気に広まり、zoomなどを使ったイベントや会議が盛んに行われるようになりました。オンライン通話・会話は移動が困難な人や遠くにいる人にとってメリットがある一方で、障害者によってはむしろ参加にバリアがあるようです。例えば見えない、聞こえない人は、オンラインでのコミュニケーションにどのように参加するのか、スムーズな会話のために必要な工夫は?など、実際にzoomを使ったやり取りを通して見出そう、というのが今回のイベントの趣旨です。
内容
コミュニケーションの方法を探る実験的な取り組み、ということで、老若男女、障害のあるなしに関係なく、どなたでも参加歓迎のゆるいトーク会。
zoomのチャット機能は盲ろう者にとって使いにくいとの声があるそうで、今回はzoomで接続しながら音声機能をオフにし、並行してフェイスブックのメッセージでやりとりをするという方法でおこなわれました。
ゲスト
九曜 弘次郎さん(富山県在住、男性)
目はまったく見えません。耳は少し聞こえます。これまで補聴器を使用していましたが、昨年末に人工内耳の手術を受けて、現在リハビリ中です。
点字ディスプレイを使ってみなさんからのメッセージを読んでいます。他の盲ろう者のためにITサポートをしています
加賀明音さん(愛知県在住、女性)
全盲・全ろうです。外出には車いすを利用しています。
大阪のグループホームで生活している…のですが、4月初めから愛知県の家族の家に住んでいます。
感想
今回はホスト役の奥井さんが、約40人の参加者の会話(フェイスブックメッセンジャーのコメント)を交通整理しながら進めるやり方でおこなわれました。このテーマのイベント初参加だった私にとって強く印象に残ったのは、とにかく静かにゆっくりと待つ姿勢が試されるイベントだったということです。つまり、①複数の人が同時にコメントすると混乱するため、ホストに指名された人だけが一人ずつコメントする、②したがって、ホストからの指示をひたすら待つことになる、③盲ろうの方は点字化されたコメントを指先で読み取っており、送る時にも完全ブラインドタッチなので時間がかかって当然、④相手のコメントに直感で反応するチャットに慣れている、しかもおしゃべりな私には結構我慢が必要!といった感じです。
けれども、静かに始まり静かに終わるトーク会はすごく新鮮でした。お誘いをいただき気軽に参加しましたが、盲ろうの方とのコミュニケーション経験が少ないので、振り返ると配慮に欠ける部分があったのではないかと。例えば、飲み物を飲みながらの参加は、指先で会話をしてる盲ろうの方にはできない事なのですね。私は軽率にも、チューハイを飲みながら参加していました。
一方で、見える人同士は映像が使えるのに表情で反応しない、九曜さん、加賀さんに配慮して文字だけで、一人ずつリアクションすることで、視覚からの情報を無駄に?している感じもしました。これをカバーするには、視覚情報を文字化してお二人に伝える役割の人がいたらよかったかもしれません。でもホストの奥井さんも、ぜんぜん表情でのメッセージは出してなかったですし、盲ろうの方が大量の文字を一気に読み取ること自体難しいのでしょうから、今回のやり方だとむしろ、参加者は顔出し必須でなくてよかったのでは?とも思います。盲ろうの方を含めた参加者全員が、受け取る情報量・内容を均一にする、というのも、多様性に配慮したフラットなコミュニティづくりの時のポイントなのかもしれないな、と気づかされました。
今後コラバスでも、視覚・聴覚障害の方に限らず、様々な個性をお持ちの方々との対話の方法、協働の仕方を考えていきたいです。今回参加して、オンライン接続の方法、ツールの選び方、運営ルールなども参考になりました。奥井さんには改めてお話を伺いたいと思いました。