Interview【障害現場で働く】地域作業所カプカプ川和 幸田 拓也さん
寿司職人からの華麗なる転身
大学で国際関係を専攻し、卒業後30歳まで外食産業の会社(回転寿司チェーン店など経営)で働いていました。店長を6年務めた後退職し、オーストラリアに渡り、1年間日本食レストランに勤務。幅広い年代や立場の人と接することができ、外食サービスの仕事は面白かったですが、もっと深い関係性の中で仕事がしたいと思っていました。お店のお客さんとの出会いから、帰国後しばらくして福祉系に関心を持つようになり、ハローワークで紹介を受け、見学や実習に行くことになりました。カプカプとの出会い
寿司店で働いているときに、障害者の方々がお店のお客さんとして来られることがあって。彼らの接客をするうちに顔見知りになり、普通に接していたので、障害者に抵抗はありませんでした。カプカプ以外の作業所も見学しましたが、職員と利用者の関係が固定化していて、しっくりこなかった。ところがカプカプでは、職員も利用者も自然に笑顔が出て、強制されることなくのびのびとしていたんです。10日間カプカプ(ひかりが丘)で実習をしたのですが、とても楽しかった。また彼らの事について質問をすると、所長の鈴木さんから納得できる回答が返ってきたので、とても心強く感じた。それでカプカプで働くことを決めました。カプカプ川和での毎日
この仕事の魅力
何よりも利用者さんたちが親しみをもって名前を呼んでくれる、頼りにしてくれることが嬉しいです。職員と利用者という立場を超えて、気持ちが通じ合う瞬間がたくさんあり、自分が求めていた深く、近い関係性がここにはあると感じます。仕事に関しても指示ではなく、同僚として「いっしょにやろう」と提案ができる。これはカプカプの理念としてどの事業所でも大切にしている考え方です。仕事のなかで感じる課題
利用者さんのやりたい事に対して介入の加減が難しいことです。おせっかいはしたくないし、自己判断の線引きが難しいです。日々、気づいたことなどはスタッフノートを通じて共有するようにしていますが、利用者の家族や他の関係者との共有も大切と感じます。あとは、せっかく駅近くの店舗なのに、来客が少ないことですね。 <所属アーティストの紹介> 与那嶺さん エイブルアートカンパニーにも登録しているアーティスト。沖縄で漁師をしていたという与那嶺さんの作り出す魚たちはカラフルで、どこか沖縄の海を感じさせてくれます。魚のうろこの書き方、向きも一律ではありません。平面画だけでなく、海の中の世界を表現した立体的なオブジェも作ります。取材の日は私たちに船の折り紙をプレゼントしてくれました。 藤原直美さん 似顔絵作家。ポスカなどカラーペンを使ってカラフルな人物画、ペットのイラストなどを描いています。似顔絵入り名刺もかわいいと好評。明るくて社交的、「こうちゃん(幸田さん)」が大好きな女子力の高い方とお見受けしました。 越川亮平さん 国旗のイラストが得意でオリジナルのクイズを作成しているそうで披露してくれました。正確なイラストはクッキーのパッケージにも。クッキーのフレーバーに合わせて、抹茶味→利休の顔、紅茶味→インドの国旗など、イメージの豊かさが商品に個性をプラスしています。<地域作業所カプカプ川和 データ>
- 設置年 西暦 2010 年
- 施設種別 地域活動支援センター
- 利用者数 20人 (1日平均 15 人)
- 利用者の平均年齢 20才代
- 職員数 常勤 2人・非常勤 0人
- 作業内容 調理、クッキー、ケーキ作りタオル検品、ポストカード、織物、俳句集
- 標準的な工賃 400円/日 8400円/月