よこはま地域福祉研究センター勉強会vol.8(こどもの地域生活支援プロジェクト)「さまよう子ども若者のココロ~社会で子ども若者の育ちや自立を支援するために~」
実施概要>
日 時:平成30年3月16日(金)13:00~13:45
会 場:横浜市青少年育成センター 研修室1(横浜市中区住吉町2-22松栄関内ビル7F)
参加者:一般15名(男性1女性14)、スタッフ12名 計27名
当日はさまざまな分野、年齢の方がこのテーマに関心をもって参加してくださいました。
1部 演講「さまよう 子ども 若者」~社会で子ども若者の自立を支援するために~
講師 西澤 哲氏(山梨県立大学 人間福祉学部長 臨床心理士)
本来、人は生まれてから幼少期ごろまでに、親とのさまざまな安心感体験を経て、心の中に安全な拠りどころとして人(親)を置き、困った時、辛いとき、迷ったときに「拠りどころ」に聞いたり、これまでの体験を振り返ったり、この心の中の人だったらどうするだろう?と他者の気持ちを想像し、自分を律し、選択をしていける。
しかし虐待やトラウマ体験、親から切り離された経験をもち「拠りどころ」となる人をもたない、もてないこども若者は、どのような孤独、絶望感で過ごすのか。共感性や創造性をもてないまま社会にでていくとはどんなことか。
長い臨床の中で出会った子ども若者のさまざまな事例から、子ども若者が「しなくてもよいさまざまな辛い経験」をすることで、心や脳、身体にどのような変化をもたらすのか、それがどれほど将来にわたり影響するのか、を生々しく語って下さり、これまでの辛い体験を、本人のタイミングで、自分のライフヒストリーとして整理できるようになったとき、それを一緒に受容してくれる信頼できる大人や寄り添う人がいてくれることで、見通しのつかなかった未来を、どのように生きたいか想像できるようになっていける。
だからこそ、地域や周囲の大人が「さまよう子ども若者」のこのような背景にも心を配り、現実を知り、関わっていくことが大切なのではないか、などお話くださいました。
講師の西澤哲先生は、虐待やトラウマの専門でいらっしゃいます。重く辛い内容ではありますが、「関西人はどうしても笑いを取ろうとしてしまう~」と言いながらジョークも交え、聞きやすくわかりやすくお話してくだり、あっという間の講演でした。
2部 ワークショップ 「きづいたこと」「わたしたちにできること」
講演を聴いた後、参加者の方々には「もっと聞いてみたいこと」「疑問に思ったことや質問」をみどりの葉の用紙に書いて貼りだして頂き、それについて、西澤先生から丁寧に解説、回答頂きました。
次に6グループに分かれ、ここまでの話を聞いて、「気づいたこと」「わたしたちができること」を意見交換し、発表しました。これにも西澤先生がそれぞれのグループの考えや思いを一つ一つ拾い上げて、アドバイスやヒントをくださいました。
参加した方からは、
・今まで考えたこともなかった「さまよう子ども若者」の背景を知った。今までと違った視点でも子ども若者の育ちを考えてみたい。
・ずっと若者の心が見えづらく、関わり方に悩んでいたが、このような話を聞いて、関わる上で、参考にしたいと思った。
など、たくさんの感想を頂きました。
これをきっかけに、子ども若者の育ちについて、色々な方が、さまざまな視点や観点で考え、アクション出来たら良いのではないかと思います。
西澤先生、参加して下さった皆様、ありがとうございました。