colabusの横顔 01 “marine blue”



トップダウン&ボトムアップのバランス

コラバス

商品づくりのプロセスに関わることが、白根学園さんのやりがいとモチベーションにつながっているように感じます。

石黒さん

今回、はじめて冷凍でドッグパンを納品しています。今まで経験がありません。普段は菓子パンなど出来上がり品を納めていますが〝原材料〟の納品ははじめてです。冷凍原材料の納品が初めての経験で、成功したことが今後の新しい売り方に繋がると思います。今回は新しいノウハウがひとつできました。

コラバス

まさにディーセントワークですね。仕事がより楽しくなる、良くなるということが現実的になっていますね。障害のある人にもその感覚が共有できたらより良いですね。他の区の施設でお話を伺うと〝生活介護〟で儲けることに抵抗を感じている施設が多数あります。一生懸命良いものをつくっているのに、です。福祉施設の古い事情がある中で、白根学園さんではそのあたりが突破できているのではないでしょうか。

根橋さん

育成会さんが、バイヤー/商社の役割で、〝生活介護〟事業所の商品(作品)を発掘して頂けるとありがたいですね。そこで、我々も負けないように、切磋琢磨してレベルアップしていこうと思います。それから、お店のオープニングから一緒に考えるプロセスをいただいたおかげで、〝マリンブルー愛〟と言いますか、愛着と積極性が生まれています。

現場の職員が、トップダウンで言われて作るのではなく「やりたい!」と思える。ボトム・アップにつながっています。

コラバス

とは言え、まだまだ福祉の専門職には商品づくりや販売について前向きな姿勢が少ないと感じます。

根橋さん

そうですね。とくにスピード感についてはそう思います。〝就A型〟や〝移行〟はレスポンスが早くスピード感がありますが、重い障害のある利用者が多く〝生活介護〟をメインとする事業所ほど、頼んだものがいつまで経ってもできてこない、みたいなところがあります。我々は〝就B型〟ですが、そんなに早い方ではありませんし工賃も高くありません。でも今回このようなチャンスを頂いたので、何とか頑張っています。職員も積極的・主体的に取り組み、青いパンを頑張って作ってみよう!とか。今日、試作で持ってきたカヌレも現場の職員の発想です。僕なんかはこんな存在自体知らないですから。職員がそういうプラスアルファの仕事をしてくれることが、ここにつながっています。

これからの課題

コラバス

ものづくりを進める際、特に丁寧・大切にしていることがあれば教えてください。メニュー選定には、スタッフさんのご意見などを取り入れる機会がありましたか?取り組みの中で難しかったことやご苦労などもお聞かせください。

鈴木さん

新しい仕事を受けるのは大変です。今回の話を頂いた時も、常に悩みながら進めていました。管理者と現場のリーダーが話し合いながら進めてここまで来ています。

伊澤さん

今回一緒にやって行く中で、何ができないのか?何が弱いのか?ということを話し合いました。たとえば、物流ができない、弱いといったことですね。では、それが法人全体ではできるのか?と考えるわけです。そのように、できる方法を探していくのですが、積み上げ型がいいのか、トップダウン型がいいのか。今回は、トップダウンで進めたほうが、早いなと感じた場面が多かったです。試食会などの場を通じて、私は職員さんのやる気が活かしきれていないように感じました。どうやったら、楽しく商品開発ができるか、何が足枷になっているのか、ということを考えていました。トップダウンとボトムアップのバランスをうまくとりながら進めていくと、ひろがりがあるのかなと思っています。

コラバス

今回の取り組みのために、人員を増やしたりしたのでしょうか?

鈴木さん

増やさなきゃだめだ!なんて言いながらも、増やさずに対応しています。現場はとても大変です。頑張りすぎには注意しなければならない状況です。

「麦の丘」という施設の話をしますと、今までは多機能といって就労継続B型と生活介護機能でやってきましたが、重度高齢化でお年を召した方がやってきたりして、一昨年の10月に生活介護一本に切り替えました。お仕事の度合いとしては、ペースを落とさざるを得ない状況が続き萎んでいくような、ちょっと暗いような感じも施設にありました。自分のところで売り場をもっていないこともあり、商品の納め先も福祉関係さんが割と多いです。そのようななかで、今回のように都会のお店で自分たちの商品を取り扱ってもらうことは、利用者さんにとっても職員にとっても、高いモチベーションになっています。

コラバス

利用者さんにも、自分たちの作っているパンが、今までとは違う人たちにも食べてもらっているんだよと伝っているのでしょうか?

鈴木さん

先ほどお話にあった〝わくわく広場〟で販売するお話は昨年の春にいただきました。〝ららぽーと横浜〟といえば、自分たちの施設のある旭区では、皆さんが休日を過ごす場所として親しまれている場所です。そこで自分たちのパンを売ることも、モチベーションになっています。〝わくわく広場〟へは、利用さんも一緒に納品に行っています。バックヤードに入ったり、普段の生活では経験できないことをさせていただいています。今はコロナの状況を考慮しながらにはなりますが、もっとそのような機会を増やしていかれたらと思っています。

石黒さん

納品で運転している職員にも都会の道路事情に不安があり、いつも利用者さんが同乗して商品の配達をすることは難しいのですが、一緒に納めに行った利用者さんは「はじめて来た」「はじめて知った」と、とても喜んでいました。


つぎは 「横浜みやげをつくろう」

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