子ども・若者の育ちと自立を支えるオンラインフォーラムを開催しました
10月10日、「子ども・若者の育ちと自立を支えるフォーラム」をZOOM開催しました。令和2年度も、同テーマでフォーラム開催を予定していたのですが、コロナの影響で中止になっており、今回ようやく開催することができました。プログラムは、基調講演、当センターより県内の子ども・若者支援の事例紹介、パネルディスカッション、参加者のみなさんのグループ交流、4本立て、盛りだくさんの半日になりました。
【基調講演】「生きづらさを抱えるこどもたち」
弁護士法人ソーシャルワーカーズ副代表、安井飛鳥氏
今日の子ども・若者のリアルを、私たちは観ているだろうか?子ども・若者の声を聴くことができているだろうか?子ども・若者の育ちと自立を支える必要性や価値、また、その方法を考える前提として、立ち止まり、皆さんと共有したいと考えていました。「見過ごされる子ども・若者の生きづらさ」「本当に私たちは子どもの声を聴こうとしていたのか」「子ども・若者が語れないわけ」「最終的に子どもを救うということは」複数の、そしてどれも、私たちの想像に及ばない現実や無意識の偏見やバイアスに鋭く問いかけるものでした。
参加者の感想からは、「新たな視点で気づきが多い話だった」「生きづらさを完全になくすことはできないけれど、社会で共有しながら、共に生きていくことが大切と思った」「子どもの本当の心を理解できているのか…心に刻み活動に活かしていきたい」などの声が聞かれました。
【事例紹介】「地域のみんなが元気になる活動事例集」より
2020年5月に報告した、神奈川県内300の子ども・若者支援活動団体の調査で、今日の子ども達が、複合的な育ちづらさ(生きづらさ)を抱え、長期的に改善されにくい状態にあったり、育ちのプロセスの途上で課題に直面して立ち止まったりしていることがわかりました。そして、調査対象の活動者・団体は、それらの子ども・若者を発見し、身近な地域で見守り・伴走的に育ちを支えていることもわかってきました。「地域のみんなが元気になる活動事例集2021」は、8歳から33歳までの子ども・若者10ケースを紹介し、そうした活動によって、どのように子ども若者に変化がもたらされているのかを表しています。
是非、多くの皆さんに事例集をご覧いただきたく、事例の分析方法も含めて、3事例を紹介しました。子ども食堂や就労支援など異なる支援形態の事例を取り上げながら、それぞれの子ども・若者が多様な課題を持つ「対人関係」「健康・生活・環境」「生きる力」「成長思考」が、細やかな伴走型支援によってエンパワーされている様子をお伝えしました。
【パネルデイスカッション】
NPO法人チャイルドケア 永井 圭子氏
産前産後の母子支援を通して多様な課題を家庭とのつながりを継続的に持つ2016年より、こども食堂、たまにはめしをで「たまめし食堂」を開設。その後、たまにはお風呂にで「たま風呂」も実施。
「プレーパーク遊Being♡あしがら」 山崎 由恵氏
神奈川県西域の8つのプレーパークの支援に携わる。神奈川県のケースワーカーとして課題のある子どもの自立支援に従事する。豊かな自然をベースに、こどもたちに外遊びのチカラを育て、子どもから高齢者まで多世代のの居場所となることで、地域の人を身近に感じながら健やかに育つ環境を生み出している。
「NPO法人アイゼン」俵 隆典氏
介護事業所の経営と共に、川崎市多摩区ソーシャルデザインセンターの仕事に従事。地域包括ケアの中で登場しにくかった学生や若い子育て世代を地域とつなげることを考え、学生ボランティア中心の子ども食堂によってまちづくり、地域の人材育成に取り組んでいる。
「ワーカーズコープ連合会」鳴海 美和子氏
協同労働の考え方を柱に、今日広がる多様な就労のつまずきを支え、仕事を生み出し、当事者年ごとのマッチングを支援して生きること働くことを支援している。
「NPO法人サンカクシャ」荒井 祐介氏
学校や社会に馴染めない15〜25歳ぐらいの若者が、社会で生きていくために、経験値を獲得できる機会づくりをする。人とつながり、自分を応援してくれる人と出会える「タマリバ」と何かにチャレンジするための「サンカク」の機会を作り出し、若者の経験値向上を目指す。
子ども・若者と向き合い、彼らの声を聴き、彼らを孤立から救い、地域とつなぎ、主体的に前を向いて育ち、生きることを応援する皆さんだからこそのコメントが時間一杯に噴出!
「誰にもつまずきはある。立ち上がる力をいかに育むか。」「つまずいた時に戻れる地域があることが大切」「子ども・若者に社会人の姿、大人の姿を見せていく必要がある。」「若者と大人のつながりをもっと地域に必要」「支援者と被支援者との区別をなくしたい」といったお話に、納得と共感の声が参加者の感想から多数寄せられました。
「具体的なお考えや実践を聴き勉強になった」「日々、向き合っている方々にはパワーがある」などの感想も寄せられ、それぞれの登壇者の言葉や取組みに学びと刺激を受けられた参加者の皆さんを感じました。
【グループ交流】
ZOOMの「ブレイクアウトルーム」の機能を使い、参加者の方が少人数のグループに分かれて、「子ども・若者の居場所の価値と可能性」について対話しました。その中で「まず大人同士がつながり、街全体が子どもに関心を持つように土壌作りをしたい」「『支援』という言葉を使わずに居場所を一緒に楽しいことをする場所に」「大人と若者の出会いを作りたい」「本当に困っている人にいかに自分達の活動の情報を届けるか悩む。官民の連携も必要。」「居場所は増えている。これからは活動者同士のつながりが大事。」などの意見が交わされました。
「立場は違っても志を同じくする方たちと議論するのは楽しかった」「活動している方たちとつながりが持てて嬉しかった」「様々に活動している方、活動しようと考えている方の話は、思いが溢れていて話が尽きない」「すでにある活動拠点にまずは参加して繋がるうちに、思いが一緒の仲間が見つかり次の活動へと繋がるということが分かった」「とても学びの深い時間となった」「様々な取り組みを実践している方がいることが分かったので、連携に役立てたい」等といった声が寄せられました。
ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。今後も共に生きる地域を目指し、学びの機会を作っていきたいと思っています。
実施概要:https://yresearch-center.jp/news_comprehensive/online-kodomoforum21/
※当センターで作成した事例集をご希望の方には、費用をご負担いただいた上で送付しております。問い合わせフォームにてご連絡ください。なお、数に限りがありますので、在庫切れの際はご容赦ください。